COLUMN まちづくり、ものづくり

緑のまちづくりフォーラム
みどりで名古屋の魅力を高める~緑の基本計画改定に向けて~

2019.12.02

「緑」「まち」と聞くと、皆さん、どのようなことを想像しますか?街路樹や公園のみどりでしょうか。
 名古屋市が市民とともに「まちのみどり」について考えるために、「緑のまちづくりフォーラム」が開催されました。

 開会に際して、まず名古屋市緑政土木局長の山田淳さんからの挨拶がありました。今回の改定では「子育てと公園」もひとつの観点として取り入れているそうです。ある不動産情報サイトで、子育て世代の方々に、「子育てに良い街」の条件を伺ったところ、なんと1位であがっていたことは「身近に公園があること」。名古屋には市民一人当たりの公園面積が東京の2倍以上あるということは、子育て世代にとって、公園の点では名古屋は東京よりも魅力的であるといえるのではないでしょうか。

 続いて、緑地事業課長の岩本渉さんが緑の基本計画の改定に向けた現在の検討状況を説明してくれました。今度の計画では、緑の多面的な効果を「8K」として表現しているそうです。
 みどりにより都市力を高める(観光、企業活力、景観)
 みどりにより地域力を高める(子育て・教育、交流、健康福祉)
 みどりにより持続力を高める(環境、危機管理)
 それぞれの要素の頭文字が全部カ行なので、8K!
言われてみればそうか!と思いますが、「みどり」って、いろいろなポテンシャルがありそうです。

 最初の講演は造園家、東京都市大学特別教授であり、なごや環境大学の学長でもある、テレビでもおなじみ涌井史郎さんの「グリーンインフラと公園緑地-環境革命の時代。地域の中核として-」。
 インフラという言葉は社会資本のことを指し、これまでの道路や下水道といった建造物であるいわゆる「グレーインフラ」に加えて、「みどり」を味方につける「グリーンインフラ」が世界的に注目されています。
 東日本大震災で被災された陸前高田の方々の言葉に「私たちは悔しいんです」と書いてあります。これは、自分たちのまちの土地や自然について知らなかったこと、またそれを教えてくれようとしていた先代の方々の話に耳を傾けなかったことが悔しいということです。日本人の古くからの自然との付き合い方である、小さな自然災害をある程度受け入れながら甚大な被害からはうまく逃れる「いなし」という知恵を、英語では「レジリエンス」と呼ぶようになり、世界でこの知恵を学ぼうという流れができたことでグリーンインフラの概念が広がるようになったそうです。
 日本でも社会資本として位置づけられたことで、自然環境が有する多様な機能を活用した取組みが推進される条件が整いました。これからは持続的で快適な都市をめざすことが世界的な傾向となっており、そのためにはグリーンインフラを取り入れて、コミュニティを充実させるようなまちづくりが必要であるとのことでした。

 続いての講演は、人と自然、人と人とをつなぐNPO法人NPO birthの事務局長をされている佐藤留美さんの「公園が変わると、まちが変わる!」。
 現在、東京都内の様々な公園の管理をされているそうですが、より多くの人と新しく連携しながら、公園とつながりのあるライフスタイルやコミュニティを広げる、また次世代につなげる取組みをされているそうです。例えば、市民の「あったらいいな」を公園づくりに活かすプロジェクト。まちへ出て人の声を聞き、共鳴した人や団体をつなぐことで、DJを呼んだ音楽イベントやスポーツイベント、アーティストの作品を取り扱うマーケットを開催するなど「いろんなあったらいいな」が実現されています。さらには、公園で出会った人たちが公園以外に集える場所をつくるなど、公園から地域へ、知り合いや楽しいことがどんどん滲みだしていく、そんなまちになってきているそうです。
 また、公園での気軽なボランティア体験「ちょいボラ」を始めたところ、子どもに土を触らせたい親子や、不登校児のケアをしているクリニックの方々、地元企業などにも人気とのことです。公園には花壇づくりや落ち葉掃き等やることがいっぱいあり、人の役に立っているということがダイレクトに感謝される場なんだそうです。まさに公園が「ハブ」になり、人と人の新たな出会いにつながり、地域活性化につながっているとのこと。駅から遠く、駐車場のない場所であっても口コミで2000人が来園するようなイベントもあったそうです。公園は、市民の力によって様々な可能性に満ちた出会いの場になるんですね!

 パネルディスカッションでは、これまで登壇された涌井さん、佐藤さんのほか、新たに3人の方が登壇されました。
 一人目は、国土交通省都市局公園緑地・景観課長を退職され、現在は千葉大学園芸学部・横浜市立大学国際教養学部非常勤講師の町田誠さん。「公園」の機能について今まちづくり団体や民間企業が注目しているにも関わらず、「行政の管理している公園」は規制が多く、使えない。「公園を使わせないなら、自分たちで公園を作る」という動きが、様々な場所で展開されているのだそうです。公園の管理のことだけを考えた「パークマネジメント」ではなく、そのエリアをどうしていくのが最適なのか、どうしていくのが地域のプロフィットセンターとして活用できることになるのかという、「パークマネジメント」から「エリアマネジメント」へのお話が印象的でした。

 お二人目はイラストレーターの古川愛李さん。実際に1歳10か月の女の子の母でもあるということから、子育て目線で自身が感じることについてイラストを交えながら意見をいただきました。子育てをするようになってから公園へよく行くようになり、調べるようになった。子どもは花に良く反応し、「あのお花を見に公園へ行こう」と母娘で話すなどの紹介に、聴いている方々もしきりにうなずかれていました。

 もう一人は日本福祉大学国際福祉開発学部教授であり、名古屋市緑の審議会部会長でもある千頭聡さん。名古屋には、東部の樹林地、西部の農地や干潟、中央部の大きな公園やシンボルとなる街路樹等といった大きな緑のほかにも市民が管理している「どんぐり広場」が数多くあり、もっと活用できればといったお話や、みどりの価値をみえる化するにはどうするか、みどりが経済的な価値を生み出しうることをどう伝えるかなども課題であるとのこと。みどりによって私たちの生活がどんなに豊かになっているかということを改めて実感することが大事とのことでした。

 ここで、休憩中に集められた「みどりで名古屋の魅力を高めるアイデアシート」が一部公開されましたが、集まった数はなんと97枚!参加されたの方々の関心の高さがうかがえます。紹介されたアイデアとしては「近くにスーパーがある公園でひと休み。ママ友の交流の場となるようなスペースを作る(民間資金も)」「空き地の草地化。小動物(うさぎ・リス)の放し飼いができるような公園づくり」「みんなで防災ピクニックに公園を活用して防災力アップ」など。パネリストからは、「全部のイベントを企画すると、中止になったらキャンセル料が発生するなど、大変。やりたい人がコンテンツを持ち寄る「持ち寄り型イベント」がいい」「草地に放すならヤギもいい。ハンズオンできるというのは子育てからしてもとてもよい」など、活発に意見が交わされました。

 名古屋には、大都市でありながら、大小様々な「みどり」があります。
 「自分がしてみたいこと」×「みどり」という場、で考えるとまだまだたくさんのアイデアが浮かびそうです。

●もっとポイント「名古屋の緑って、どれくらいあるの」

市域面積における都市公園面積の割合が、政令指定都市No.1!!

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