COLUMN デザイン・環境

CREATIVE CAFÉ NAGOYA発。暮らしとデザインから読み解くヘルシンキ市の魅力。

2019.03.14

 名古屋市が、国際連合教育科学文化機関「ユネスコ」の創造都市ネットワーク(デザイン分野)に加盟認定されているのをご存知ですか? ユネスコ・デザイン都市は、現在、世界に31都市あり、名古屋市は平成20年に加盟しました。以来、国際的な連携や相互交流を通して名古屋の魅力を発信しています。
 CREATIVE CAFÉ NAGOYAは、ユネスコ・デザイン都市なごやが主催しているレクチャー+ダイヤローグのイベント。国内外から多彩なゲストをお迎えし、まちづくりやデザイン、建築、アートなど多義に渡るテーマでゲストや参加者と語り合うプログラムで、毎回好評を博している人気企画です。

 2月初旬、名古屋市美術館とのコラボレーションのもと、第7回目のCREATIVE CAFÉ NAGOYAが開催されました。テーマは「トーヴェ・ヤンソンから見たフィンランドの暮らしとデザイン」。みんなが大好きな「ムーミン」の作家、トーヴェ・ヤンソンの作品やその暮らし、そして暮らしに根づいたデザインを解説するのは、ファッションブランド「minä perhonen」PRディレクターで絵本作家の長江青さんと、アニメーション作家の佐藤美代さん。ムーミンファンやminä perhonenのファン、北欧好きな方などたくさんご応募いただき、会場は満員御礼状態でした。

 ムーミンが生まれたヘルシンキは、名古屋と同じくユネスコ・デザイン都市です。2019年春から新しいムーミン・アニメーション・シリーズがスタートすることを記念して、去る1月末にワールドプレミアが開催され、ヘルシンキは世界各国からのゲストで賑わったそうです。

 名古屋から参加したのはアニメーション作家の佐藤美代さん(名古屋市出身。)
 「ワールドプレミアの会場はヘルシンキ市内のミュージアム。入口ではムーミンのパネルや、ムーミン谷のプロジェクションマッピングが出迎えてくれました。日本でもムーミンのアニメはありましたが、3Dのムーミンは初めて。原作のニュアンスはそのままに、今までにない世界観が楽しめました(佐藤)」。
 スクリーン画像に映し出される会場のムードは臨場感たっぷり。その他、滞在中に佐藤さんが訪れたトーヴェ・ヤンソンのアトリエや、タンペレ市にあるムーミン美術館など、ヘルシンキの町の魅力を駆け足で紹介しました。

 「minä perhonen」の長江青さんは春日井市の出身。「幼い頃、家の本棚に全シリーズ揃っていた」というムーミン童話を、今はご自身のお子さんに読み聞かせているそうです。この日も「ムーミン谷の冬」の中からお気に入りのシーンを朗読しました。

 「私はTVアニメを見てから本を読んだのですが、挿絵がとても美しくて。原作にもどんどん惹かれていきました。ムーミン谷のキャラクターは、人の性格だなと感じています。誰の中にもミイやスナフキンが存在しているんですよね。嫌われ者でも愛すべきところがあったり、孤独でいることが怖くなかったり。そこにムーミンのメタファーがあり、面白さを感じるところです。人が一人でいる必要性や人との関わりの大切さを、最初に教えてくれたのがムーミン童話でした(長江)」。

 モデレーターの江坂さんが加わっての3人のトークセッションでは、トーヴェ・ヤンソンが夏を過ごした無人島の小屋の話から、話題はヘルシンキ同様、冬が長いベルリンで10年間暮らした長江さんの冬の暮らしまで波及。興味深いエピソードの数々に、参加された方々も熱心に聞き入っていました。

 フィンランドの長い、長い冬。人は厳しい自然と付き合いながら、上手く生活をマネジメントすることを覚えます。スナフキンのように一人で過ごす時間が創作活動につながり、ムーミンママのように日々をていねいに暮らすことが身についていきます。
 ムーミンの世界観を通して、名作やデザインが生まれる背景やフィンランドの暮らしの豊かさを感じたイベントでした。

★もっと、ポイント
アーティストたちが感じる、名古屋の魅力

 佐藤美代さんは、名古屋市出身。半田市生まれの童話作家、新美南吉の名作「ごんぎつね」をベースにした「きつね憑き」をアニメーションで発表し、高い評価を得ました。長江さんにとっての名古屋は「つながっている人のいる大切な場所」。佐藤さんも、長江さんも名古屋市美術館には思い出も思い入れもある、魅力的な場所だそうです。あいちトリエンナーレの開催をきっかけに、東海エリア出身の作家に限らず、世界で活躍する質の高い作家による現代美術を街の中でフラットに楽しめるようになった名古屋。今後もCREATIVE CAFÉ NAGOYAが発信するイベントにもご期待ください。

 次回は、2月16日開催「なごやのみらい Open Together」の様子をお届け予定です。お楽しみに♪

「CREATIVE CAFÉ NAGOYA発。暮らしとデザインから読み解くヘルシンキ市の魅力。」をシェアする