COLUMN なごやめし

なごやめしは風土と伝統に根ざした郷土料理

2019.02.05

 なごやめしは今や名古屋屈指の観光資源。名古屋市による観光客・宿泊客動向調査の「訪問・経験意向」(=行きたい、体験したい)では、名古屋城を抑えて堂々1位に輝いています(平成28年度)。

 定義は“名古屋で親しまれて普及・浸透した郷土料理”。その一番の特徴はバラエティに富んでいることです。味噌煮込みうどん、味噌カツ、手羽先、ひつまぶし、きしめん、台湾ラーメン、あんかけスパゲティ、鉄板スパゲティ、味噌おでん、小倉トースト、名古屋コーチン、ういろう、天むすなどなど・・・。ご当地グルメがこれほど多彩な土地は、日本中見渡しても珍しいのではないでしょうか。例えば二泊三日の名古屋滞在中、朝昼晩すべて異なる種類のなごやめしを食べて過ごすことだってできるのです。

 そんななごやめしですが、他の地域にはない料理だけに誤解されることもしばしば。“風変わりなB級グルメ”というイメージを抱かれることも少なからずあるようです。

 なごやめしの多くに共通する特徴はうまみの濃さ。その根幹をなすのは豆味噌です。豆味噌は大豆と塩だけを原料とし、生産も消費も名古屋を中心とする東海地方にほぼ限られます。その最大の特徴がうまみ成分の多さ。米味噌や麦味噌と比べて実に約2倍もあるのです。加えてこの地方で好まれるたまり醤油も、やはり他の醤油と比べてうまみ成分が多い特徴を持っています。味噌と醤油。和食に欠かせないこのふたつの調味料がとびきりうまみが濃いのですから、それを食して育ってきた名古屋人は必然的に“うまみ嗜好”になります。なごやめしはその嗜好にマッチして親しまれ、広まった料理であり、すなわち風土と伝統を背景にした郷土料理といえるのです。

 なおかつうまみは、100年ほど前に日本人が発見し、ここ10年ほどで世界でも認められるようになった基本味のひとつ(他は甘味・塩味・酸味・苦味)です。うまみを重視した味つけは和食の一番の特徴ですが、中でもそれをとりわけ分かりやすく表現しているのがなごやめしといえます。つまり、なごやめしは日本代表の料理のひとつとして世界に向けてアピールできる、誇るべき食文化なのです。

★もっとポイント
●名古屋喫茶の背景には茶の湯の文化アリ(!?)

 喫茶店も名古屋の食文化を語る上で重要な要素のひとつ。コーヒーにトーストやゆで玉子が無料でついてくるモーニングサービスやピーナッツなどのおつまみは名古屋の喫茶店ならではのサービスです。名古屋人の喫茶店好きの背景にあるのが、尾張徳川藩政期からの茶の湯の文化。自然環境に恵まれた名古屋は農業の生産力が豊かで、江戸時代から庶民の暮らしにもゆとりがあり、“いっぷく”の習慣が根づいていたといわれます。現代の庶民にいっぷくの場を提供するのが喫茶店であり、モーニングなど少々手厚いサービスも、お茶席で育まれたおもてなし精神が発展したものといえるのです。

次回は、「新・なごやめし 巷で人気の“なごやめし”をご紹介」を配信予定です。

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